ここは恵方 [SIDE:A]

動物病院を探すにあたっての予備知識

最終更新日:2006年4月

前頁で紹介した「良い動物病院の探し方」に加えて、実際に病院に行く前に知っておくと良い予備知識を紹介します。

◆獣医師という職種について

まずは、獣医師という職種について考えてみましょう。

動物病院における獣医師の専門分野の分類例

上図は、獣医学を学び獣医師免許を取得した学生が進む進路の一例と、飼い主の言ういわゆる「獣医さん」のさらに細かい分類例です。正確なものではないので、大きな流れを見る程度の図だと思ってください。

まず、就職先として多々ある中で、動物の健康管理や治療などに従事する仕事に就く人がいます。彼らは「臨床系」と分類されます。動物園や保健所などにも獣医さんはいますが、趣向が違うのでここには入りません。割合までは調べてありませんが、数ある就職先の中の一部だと認識してください。もっと詳しく知りたい方はWikipediaへどうぞ。

これがどういうことかと言えば、要するに、動物病院勤務というのは決して特別な進路ではないということです。深い思い入れを持ってその道に進む人もいますが、何となく進んでいく人もいるのです。そして、その仕事に魅了される人もいれば、仕事としてなめてかかったり、なじめずに辞めていく人もいます。この辺は他の職業でも同じ事で、その意味では獣医師という職業を特別視する必要はないのです。

もちろん、命を預かる仕事であるだけに負担の大きい仕事ではありますが、意味もなく持ち上げる必要もなければ、逆に敵視する必要もないと言いたいのです。

ページトップへ戻る▲

◆獣医師の専門分野について

さて、臨床系に進んだ人はさらに、家畜を診療する「大動物臨床系」とペットを診察する「小動物臨床系」に分かれます。これが上記1の部分です。ペットは家畜に比べて小さいから「小動物」と呼びます。犬も猫も小鳥もハムスターも、ペットは全て「小動物」です。犬と猫を飼っている人は最低限この分類で病院を選んでください。

もう少し気の利いた病院になると、これが「犬・猫」と「その他(エキゾチックペット)」に分かれます。これが2の部分です。犬・猫以外の動物を飼っている人は、病院選択のレベルがここになります。「エキゾチックペット」の認識のある病院を選んでください。

もっと専門的になると、エキゾチックペットの中でも更に細かい分類がされます。ここで爬虫類(場合によっては両生類や魚類も)を診察できる病院が出てきます。これが3の部分です。非常に数少ない貴重な存在です。

私が前住地で利用していた病院では、3のレベルまで獣医師の専門が分かれていました。勤務医10名ほどの中でエキゾチック(小型ほ乳類と鳥類)が2名、爬虫類が2名でした。また、その病院には大動物も3名ほどいて、家畜の診療にも対応できる体制になっていました。どの獣医師も、犬・猫の診察もこなしていましたが、やはり犬・猫についても専門家がいたようです。

選択の幅は地域や環境によってそれぞれ異なるものですから、これが参考にならない場合もあるでしょう。しかし、かかりつけの病院に獣医師のプロフィールがあったら、ぜひ読んでみてください。勤務医の専門がきちんと把握されている病院というのは、病院選びの基準となり得ます。

また、ある分野を学ぶための勉強会などもあり、それに参加している場合はプロフィールに掲載していることもあります。例えば犬や猫なら「○○科研究会」、エキゾチックペットなら「エキゾチック○○会」のように。このようなプロフィールがあれば特に力を入れている分野が飼い主にも分かりますし、こうしてより深く勉強を続けている獣医師なら、より安心して診療をお願いできるのではないでしょうか。

ただし、ほんの一部にですが、会の名前だけ欲しくて参加している人もいるようです(一般社会でもよくある話ですね)。それから、知識だけは豊富にあるが最も大切な「心」が抜け落ちている人も。ほとんどの獣医師は本当に真剣に学ぼうとしているのですが、中にはそういう人もいるということも頭の隅っこに入れておいてください。それが世の中というものです。

最終的に判断するのは肩書きではなく、あなたが前ページで書きだした3つの重要事項、つまりあなたの目ですから。

ページトップへ戻る▲

◆動物に対する差別意識の背景を考える

  1. 動物種や血統でペットを差別しないこと
  2. 自分の飼っている動物に対する正しい知識と技術を持っていること(「高度な技術」とは違う)
  3. 自らを省みることのできる冷静な目を持った人であること

上記は前頁で私が挙げた、私にとっての動物病院選択ポイントです。社会人として当然とも言える、上記1と3について少々考えてみましょう。

血統書付きの犬と雑種の犬では扱いも診察室も全く違う病院、ハムスターを見て「ケッ」という顔をする獣医師、は虫類に対して暴言を吐く病院関係者。彼らがしていることは、生命に対する差別です。人種や民族・家柄によって患者を差別する医師と同じです。

でも医師は、たとえそう思ったとしても(例えばの話です。まさか今時日本にはいないと思いますが。患者全てを見下げる医師はいますけど)表には出しません。医師達は、それが世間的には許されない考え方であり、表に出したら自分が損をすると知っています(それを理解できない困ったちゃんも実際はいますが)。

一方、獣医師は大学でそんな教育を受けていません。もしも一度自分を「誤解」してしまったら、よほど人格の優れた教官や開業医の元で修行しない限り、誰もその考え方を矯正してはくれません。利用者である飼い主が何も言わずにいれば、彼らはそのまま年をとっていきます。

3についても同じ事。他人の聞く耳を持たず、自らを冷静に見つめて分析・反省・工夫する目を持たない「技術屋」に、いつまで経っても「向上」はあり得ません。特に、技術職の中でも対人的要素の大きい職業ですから、職業人としての姿勢を大きく問われるはずです。

一体なぜ、一部とはいえ、獣医学を学んでいるだけの「ただの学生」が、動物に対する差別観や飼い主に対する優越感を持ってしまうのでしょうか。彼らとて入学時にはそんな偏見は持っていなかったはず(中には入学前から持っている人もいるみたいですが)。そして、なぜ社会人1年生の「ペーペー」時代を通してもその特権意識が矯正されないのでしょうか。

ここで浮かび上がるのは「大学での教育の在り方」「就職後の新人教育の在り方」です。どうやらここに大きな根源がありそうです。話が大きくなってきたので、それについてはいつか書いてみたいとは思っています。あくまでも希望ですけれど。

ページトップへ戻る▲

ついでに、獣医学部・学科が偏差値的に医学部の滑り止めとなっている現実も知っておきましょう。各々の専門分野には各々の使命や目標がある訳で偏差値で優劣などつけられないのですが、学歴社会においてはこれもまたひとつの現実です。

ただ、全ての学生がそうだというのではなく、「医」と名の付くところならとりあえず自尊心が保たれる人も中には混ざっているという意味です。このタイプの人は劣等感の裏返しから尊大な態度で他者と接し(かつ権力には弱い)、獣医師となってからも飼い主とトラブルを起こす最も危険なタイプのひとつです。

「大学進学に対する価値観」にも問題はありそうですね。もしかしたら成長の過程での倫理的問題かも。日本の社会構造の歪みがよく現れているのかもしれませんね。

ページトップへ戻る▲

[BACK] [NEXT]
[SIDE:A TOP] [HOME]

Copyright (C) 2003-2017 恵方 , All Rights Reserved.