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遺伝子の捉え方

最終更新日:2006年4月

前頁のハムスター的『管理責任』では遺伝子について触れました。では、身近なものとは思えない「遺伝子」というものをどう捉えたら良い方向に向かえるのか、考えてみませんか。

これはハムスターに限った問題ではありません。ペットとして飼われている全ての動物に当てはまることだと思います。責任を持って飼育していくためのひとつの提案です。

◆繁殖の前に

遺伝を意識してほしいのは、まずは、繁殖する予定のある飼い主さんです。色柄の掛け合わせひとつ取っても、一定の確率で奇形や死産を誘発するものがあることは分かってきています。また、病気の中でも遺伝的要因の大きいものが存在することも分かっています。

それがどんな遺伝子から来るものか、なんて考える必要はありません。そのような情報は遺伝情報を掲載しているブリーダーさん等のサイトでも得られますが、知ってほしいのはその具体的な掛け合わせだけです。難しいこと一切抜きにして、とにかく「危険な掛け合わせ」の例を知って下さい。それだけだったら探せば見つかるはず。私のリンク集でも紹介していますから、それらを足掛かりにして情報を見つけて下さい。具体的な例を知った後で、もっと知りたいと思えば踏み込んで調べれば良いのです。

自ら考えなくても、現状でリスクを避けられると分かっている分の答えは書いてあります。その答えが書いてある場所を見つけるのさえ面倒だと思う方に繁殖などしてほしくはありません。

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なぜ繁殖に対してこんなに神経質になっているかと言えば、それは生まれてくる仔ハムに「生まれながらの苦痛」を背負わせてしまう可能性があるからです。苦しむのは当のハムスターです。なのに、繁殖するか否かの決定権は飼い主が握っているのです。愛するからこそ、リスクはできる限り排除してやってほしいと思うのです。リスクをゼロにするのは不可能ですが、可能な限り減らすことはできるのです。

繁殖させる前に、生まれてくる子供達の健康について考えてあげてください。できることなら、この位は。

ジャンガリアンとキャンベルの区別はついているでしょうか。掛け合わせようとしているオスとメスは共に健康体であるでしょうか。劣性致死遺伝子の事は知っているでしょうか。その親兄弟に遺伝的疾患は見つかっていないでしょうか。

近親交配が決して悪いわけではないけれど、近親間の交配であれば遺伝的疾患を発症する危険性は高くなります。無謀な近親交配はしないでやって下さい。

また、糖尿病や一部の心臓疾患などは遺伝すると言われています。もちろん、遺伝ではなく個体の問題として発症するものもいます。遺伝する可能性がある疾患かどうかは獣医療情報から得られます。

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◆繁殖の後に―――情報交換の大切さ

しかし、これらのような疾患の有無を繁殖前に見極めるのはなかなかに困難です。もし繁殖後に発症したならば、里子に出した子供達の里親さんに連絡してやってください。親兄弟に遺伝を疑える疾患が見つかったら、その子にも同じ事が起こる可能性があります。その血統を続けていくことにはリスクがあることを伝えてほしいのです。

そして、飼育する側も遺伝から来る疾患が存在することを頭の隅に置いておきましょう。飼育する上で、その仔がリスク(疾患の可能性)を背負っているかもしれないと分かっていれば、発病を避けたり遅らせたりできるかもしれません。遺伝とまでは言えなくても体質的な傾向はつかめるかもしれません。その意味で、親兄弟の情報が入るのはありがたいことではないでしょうか。

そういう情報交換は、お互いに知識がなければできません。元親側が何も知らなければ情報は発信されないし、里親側が何も知らなければ情報をもらってもその意味するところは理解できないのです。双方が「遺伝する可能性のある疾患」である事を知っていなければ意味はありません。しかし、リスクを知ってさえいれば、繁殖する側も、里親として飼育する側も、その後の対処は違うはずです。

何匹だろうと、何を背負っていようとも、生まれてきた仔達には最期の時が訪れるまで愛情を注いでやってくださいね。

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◆本当に必要な情報はそう多くない

遺伝子の持つ情報が、例えば毛色や柄として現れたり病気として発症したりといった「目に見える形で現れること」を遺伝子の発現と呼びます。遺伝子というものは「○○を持っているから××になる」といった単純なものではなく(単純な場合もありますが)、多くの場合、いくつもの遺伝子やそれ以外の要素(例えば酵素の働きなど)が複雑に絡み合って発現に至るものです。ある病気の遺伝子を持っていても発現(発症)しない事だってあり得るのです。

しかし、そんな複雑で難しい話は専門の研究者に任せておけばよいのです。前にも述べた通り、繁殖する予定の人に必要なのは今分かっている範囲での危険な掛け合わせであり、飼育する人に必要なのは今分かっている範囲でのリスクに対する認識です。毛色によっては飼育上注意すべき事柄もあるようです。遺伝子記号なんて知らなくても、答えは書いてあるのですから、情報収集さえ怠らなければ可能な限りのリスクは回避できると思います。

ぷりぷりハムちゅ♪の菜々さんが、遺伝子の事も含めて繁殖に関する注意点を簡潔に分かりやすく 繁殖の手引き にまとめています。繁殖を考えている方は是非ご覧下さい。また、「ぷりぷりハムちゅ♪」内、「キャンベリウム」にはキャンベルの毛色遺伝子に関する体験的考察もあります。遺伝子記号が分からなくても理解できる内容ですので、繁殖の予定がない方も知識を広めるためにお勧めします。

また、遺伝子について、繁殖について、もっと詳しく勉強してみたい方はHamster Breeding Guideを読んでみてください。きっと参考になりますよ。

決して、悪いものだけが遺伝するわけではありません。例え体が弱かったとしても、生き物としての生命力の強さや優しさだって次代に引き継がれていくのです。どうぞ、慎重で思いやりのある繁殖を行ってあげて下さい。

尚、私の持つ遺伝に関する知識というのは全て、高校の生物の授業から得たものです。遺伝子に興味を持った方は高校で使っている生物の参考書(分かりやすい図説)などを読んでみると良いかもしれません。

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