ここは恵方

動物病院との付き合い・その後

最終更新日:2006年4月

◆新たな動物病院探し

レイラの事故からちょうど4ヶ月後、その子供のために動物病院へ行くことになりました。そして自らの不安と恐怖と闘いながら、信頼できる獣医師に出会うこととなったのです。

ある日、レイラの子2匹のうち1匹が突然苦しみだし一時は呼吸が止まりかけました。それまで、できることなら動物病院なんかと関わらずに過ごしたいと心の奥底で思っていた私ですが、ペットを飼っている限りそれは不可能です。選んだのは、事故を起こしたのとは違う動物病院でした。

事故を起こした動物病院を外した理由は、自分のペットを正しく診療できる獣医師がいないと判断したからです。エキゾチックペットに対する基礎知識がある獣医師であっても起こるのは避けられない事故であれば、その後の対応次第で利用したと思います。しかし、当時のやり取りの中でかの獣医師に知識がないことは露呈していますし、その獣医師は決して謝罪することはありませんでした。獣医師としての在り方に問題があると思えるのです。

自分の心の中にその獣医師に対する憎しみに似た負の感情があることは否めません。しかし、それを抜きにしても、ハムスターをきちんと診療できる病院であるとは思えないのです。もうひとりいるエキゾチックペット担当獣医がハムスターを「物」扱いする人であることは以前から知っていました。以上から、その病院は前任の獣医師が退職した時点で、エキゾチックペットを正しく診療することはできなくなったと判断しました。

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◆不安だらけの第一歩

心当たりの病院まで車で40分ほど。息も絶え絶えの状態にまで陥ったハムスターにとっては大きな負担です。それでも、適切な治療を受けさせるために通院を始めました。この病院がダメならもっと遠くの病院に行かなくてはならない、そんなことになったらこの小さな体が耐えられるのだろうかという不安を抱えながら。

心当たりとは言っても、担当となった獣医師とは当然初対面です。本当に信頼できるのだろうか、ペットの命を預けて大丈夫なのだろうか、不安でいっぱいでした。しかも、体重測定時には直接計りに乗せようとしたので、持参したケースを出して「跳んで転落したら困るので」と言って使ってもらいました。とても飛び跳ねることのできる状態でないことは分かりますが、ハムスターは逃げるためには全力を尽くす動物です。絶対にないとは言えません。既にここで不信感です。

症状から見て、呼吸困難の原因は肺の障害か心臓疾患かのどちらかであろうと言われました。レントゲンを撮れば原因は分かるけれども、麻酔によってそのまま死んでしまうことがあること、ハムスターにはモニタリングや気管挿入はできないので犬や猫よりも麻酔は難しいこと、しかし原因を特定せずにどちらかの治療を始めた場合は処置の内容が全く正反対なので間違った治療により手遅れになる可能性が高いこと、などを聞きました。

レントゲンを撮るために一旦病院に預け、夕方迎えに行く約束で自宅に戻りました。1時間後、獣医師から電話があり、無事麻酔から覚めて状態も心配ないことを告げられ、ホッとしました。

夕方、充分に麻酔が覚めたところで迎えに行き、もう一度獣医師と話をしました。レントゲン写真を見せてもらい、ひどい心肥大を起こしており肺水腫を併発していることなど詳しく説明してもらいました。

その時に、転落事故防止策をお願いする文書(PDF版またはHTML版)に署名捺印した物を手渡しました。署名捺印した文書というのは重いものです。これを鼻で笑ったり受け流したりするようではとても信頼できませんが、その獣医師は真剣に受け止めてくれました。ハムスターにとっての転落が危険であることは承知していたようですが、「獣医師が落として死なせてしまった」という事実には非常に驚いたようです。普段は体重測定用のプラスチックケースを使っているのだけれど、あの時に限ってそれが見つからなかったのだそうです。それ以外は連れていったときのケージの中で診察を行いました。そして、病院としてもこれはきちんと受け止めたいと言ってくれたことで少し安心しました。

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◆焦りと不安の中で

私は、獣医師の一挙手一投足全てもらさず頭にたたき込んでいました。一刻も早く、この人が信頼できる人かどうか見極めようと必死でした。ペットの命がかかっているのです。知識のない獣医師の間違った診療を信じている間に死なせるわけにはいきません。診療自体は無難にこなしているけれど、前の獣医師と比べたら知識は少々劣るように思います。私はあせっていました。ここで良いのだろうかと迷っていました。

おかしな話ですが、この時私は自分の書いた [SIDE:A] の文章を読み返して自分に言い聞かせていました。一度や二度会ったくらいでその人がどんな人か、どんな価値観を持っているかなど分かるはずはない。前の獣医師と比べてはいけない。あせってはいけない。もっと話をしなくてはいけない。冷静な時の自分と迷い道に踏み込んでしまった自分は全くの別人でした。我ながら笑えます。冷静なときに自分が書いた言葉がこんなにありがたかったことはありません。

3回、4回と診察を重ねるうちに少しずつお互いの考えが見えてきたように思えます。診療以外の話もする余裕ができ、その人の獣医師としての背景がぼんやり浮かんできました。4回目の診察時にはもう1匹のハムスターを健康診断に連れていきました。丸々とした元気なそのハムスターを見て「可愛い」と眼を細めた獣医師の顔を見たとき、この人は信じて良いかもしれないと思いました。そして、幸いなことに、結果的には信頼できる人でした。知識・技術もこの地域では上のレベルでしょう(それだけ地域のレベルが低いのですが)。通院が2ヶ月を越えた今、安心して治療をお願いできる人だと思えます。

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◆不安なのはお互い様

後で気付いたことがあります。私が獣医師を見極めようと必死になっていたとき、獣医師も私という飼い主を見極めようと必死だったのです。飼い主が望む治療内容は人によって様々です。どこまでの治療を勧めて良いものか、どのレベルで接していいものか、獣医師だって飼い主を探っているのです。そう考えると、親近感がわきませんか。獣医師も同じ人間だという考えに、「確かに」と思いませんか。初対面で相手のことが分からずに悩んでいるのはお互い様なのです。

その獣医師には、麻酔で患畜が死んでしまった経験があるのだとその後知りました。十分注意していても、エキゾチックペットの麻酔では死に至ることがある、それを事前に説明しても尚飼い主から「許せない」と言われたのでしょう。何が起こったのかまでは聞けなかったのであくまでも推測に過ぎませんが、この事故が起きたとき、飼い主と獣医師の間に十分な信頼関係はできていなかったのだと思います。今の私なら、もしも今麻酔でペットが死んでしまってもその獣医師が手を抜いたとか処置を間違ったなどとは思わないでしょうが、初対面の時に起こっていたら獣医師を責めたかもしれません。

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◆信頼は地道に築き上げるもの

実を言うと、診察初日に意見が食い違ったことがひとつあります。運動制限は必要かどうかということです。私は自分なりに勉強して「廻し車は外す」という結論に達していましたが、獣医師はストレスが溜まってしまってはかえって悪影響が出るとの見解で「廻し車は可」でした。判断を間違えれば突然死につながる重要な事柄ですので非常に神経を使いました。

これについてはその場で解決できず、私自身もどちらの考えも一理あると思っていたので、他の獣医師にネット上でセカンドオピニオンを求めました。実際に診察したわけではないので一般的な見解としてはどうなのかということでお聞きし、その後ハムスターの様子を見ながら担当獣医師と話をしたりして解決しました。

その時に、最初の発作は心不全だったのではないか、ゴールデンハムスターには血栓症が多いのでそれが心肥大の原因となっているかもしれないという見解をセカンドオピニオンとしていただくことができ、それをキーワードにさらに自分で調べを進めることができました。

健康なときは動物病院など行かないものだと思います。しかし、健康なときだからこそ、命がかかっていない時だからこそ、病院探しをすべきなのだと改めて思いました。自分ひとりで重い決断をしなければいけない時、獣医師と信頼関係ができていると非常に心強いものです。逆に、初対面の獣医師とペットの命がかかったやり取りをするのは本当にきついことです。治療内容によって使い分けることもあるので一軒に絞る必要はありませんが、せめて信頼できる獣医師をひとり見つけておくことを勧めます。

今回の私の場合は、幸いにも信頼できる獣医師でありましたが、もしもこれがハズレであったらと考えるとゾッとします。

今の病院も、この獣医師が退職したときにはどうなるか分かりません。また病院探しをする日が来るかもしれません。それでも、事故以降、病院と関わることに恐怖心さえ抱いていた私でもここまで来ることができました。今回の経験を元にして次も何とかやっていけるのではないかと思えるようになりました。全ては自分次第です。とにかく話をすること、疑問や不安は隠さずに示すこと、まずはそれが第一歩ではないでしょうか。

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